-合成化学の新しい分野の創製と、化学産業・製薬産業などの革新をめざす-
合成化学は医薬や機能性材料などの合成・製造を通じ大きく社会に大きく貢献してきたが、合成化学をさらに発展させ時代の要請に即応させるためには、今までに蓄積された膨大な知識に立脚し、より効率的なものへと再構築するとともに、新しい視点や斬新な手法を導入し、新たな高みへと飛躍する必要があります。フロー・マイクロ合成研究会では、フラスコやバッチ型反応器にかわる新しい反応器としてフロー・マイクロリアクターを用いた合成・製造に着目し、この分野の最新の情報を収集するとともに、産学の意見交換や共同研究の可能性を探る場として活動を行っています。
フロー・マイクロリアクターは微小流路の中で反応を行うフロー型の反応器であり、選択性の劇的向上やフラスコではできない反応の実現など学術的な研究が活発に行われるだけでなく、安全性やスケールアップの容易さなどから産業界の注目を集めています。最近では、フロー・マイクロリアクターによる商業プラントも各所で動きはじめています。
本研究会は、1996年11月に近畿化学協会合成部会ロボット合成研究会として発足しましたが、フロー・マイクロリアクターの重要性に早くから着目し、1998年には日本で初めてマイクロリアクターを中心とした公開講演会を欧米からの講師招聘とともに開催したことはわれわれの大きな誇りでもあります。2007年4月には会の名称を「フロー・マイクロ合成研究会」と変更し、この分野の動向に常に注目し、研究活動を行ってきています。
研究会の主な活動は、年数回の会員のみが参加して行う定例研究会(勉強会)と広く一般に参加していただける公開講演会の開催です。公開講演会では、デバイスや装置企業によるデモも行っています。また、勉強会・講演会のほかに、ホームページで会員を対象として最新の文献紹介も行っています。
本会の活動が、日本の合成化学および化学・製薬産業等の発展に役立つことを願っています。
化学反応を行うためのマイクロデバイス、マイクロリアクターは「時間」を「空間」で制御し短寿命中間体が分解する前に反応に利用が可能な反応容器で、その小さな内容積から想像されるよりもはるかに大きい生産量を可能にする。